私は社会人になって間もなく、
家を出て一人暮らしをはじめるようになりました。
そして一度家をでると、実家に帰るのは年に
数回くらいになっていました。
たまに実家に帰ると、母はいつも同じことを私に聞きました。
「ちゃんと、ご飯食べてる?」
私の答えも簡単で「食べてるよ」でした。
会社をつくり、マスコミにも取り上げられるようなりました。
はじめて新聞に載ったとき、その新聞を持って、
母に会いに行きました。
そして、新聞を渡したとき、母は、私に聞きました。
「ちゃんと、ご飯食べてる?」
「食べてるよ」
さらに、その後、政府のさまざまな研究会の委員を
努めさせていただきました。
ある日、母に、これからの日本をどうしていきたいか、
という話しをしました。
そのときも、同じことを母が聞いてきました。
「そんなに忙しくして、ちゃんと、ご飯食べているの?」
「食べてるよ」
母は、いつも私の体のことを、心配してくれていました。
その母も、長い闘病生活の後に亡くなりましたが、
どんなときも変わらない、愛にあふれた母の言葉、
生き方は、私の心の支えとなっています。
私にとって母は、マザー・テレサです。