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出典名: ボクシングに賭ける
おすすめ度: ★★★★★ ※おすすめ度について
本のカテゴリ: エッセイ・ノンフィクション
副題: アカンタレと夜学教師の日々 (今ここに生きる子ども) 
著者: 脇浜 義明 
訳者:  
出版社: 岩波書店 (1996/10)  
 
本の内容: 著者は定時制高校教諭。自らが札付きの不良少年だった著者が、
夜間教師となり、ボクシングを教えるようになり、ついにインター
ハイ優勝者を育てるまでになります。

「学力がない、気力がない、おまえら、そんなんで人生やっていけ
るんか」と、定時制にやってきたアカンタレたちに絶望しながらも
逃げ場のないボクシングで向き合っていく、そんな著者の無骨で、
忍耐力と希望の実践記録。

アカンタレたちは、一度や二度の試合に勝ったからといって、すぐ
に立ち直れるわけでも、練習熱心になるわけでも、生活態度をあら
ためるわけでもなく、すぐに快楽の方、楽な方、怠情な方へと
戻っていくという。人を育てたり、人を変えるのは、きれい事でも
劇的でもないことを教えてくれます。


著者は、なぜ、苦労しながらも、ボクシングを教え続けているのか
ということについてこんなふうに語っている。

「数は少ないが、多少は生徒の成長に役立っていることを知るのは
 気分がよい。しかしそのためには、こちらが「持続」と「信用」
 を実践しなければならない。指導者が溢れんばかりの情熱をもっ
 て臨んでも空回りが多い。しかし、指導者がちょっとでも情熱を
 失ったら、たちまち崩壊する。
 割りに合わないが、人を育てるのはそんなものだ。
 たぶん私たちも、割りに合わない役割をしてくれる人が身近に
 いたからそだったのだろう。(略)

 私はこれまでやたらと生徒の悪口を書いてきたが、時々謙虚な
 気持ちになってそういう生徒たちに感謝するときがある。もし
 彼らがいなかったら、私の人生はずいぶん退屈で、いやそれ以上
 に、さびしく、無意味になるだろうな、と考えるからだ。
 あの連中のおかげで、毎日ハリがある生活ができている。何も
 することがない、誰からも相手にされない存在ほど恐ろしいもの
 はない。何も期待されず、何もすることがない非有用な生活の
 中では、人は内部から死んでいく。それはアカンタレの生徒ばか
 りではなく、私のことでもあるのだ」


そして、アカンタレたちに心からこう言っている。
「「アカンタレ」がほんまに「アカンタレ」になってはいけない」

と。
かなり本音で書かれていて、立派に成長していった等という、キレ
イ事やすばらしい物語はあまり書かれていません。しかし、何か
人間の本質に迫るような迫力ある本です。 

■ほっこりしたい方、
ネコ好きさんにおすすめの本。

じいちゃんとタマの関係が
なんともよく特に1.2は
おすすめですよ~!!

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